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4月7日――
今日、女と出会った。
昼休み。外出先でのこと。
目の前で彼女が足を滑らせ、転びかけたところを僕が支えた。
昔のドラマにありそうなベタな出会いだが、きっかけなんてこんなものかもしれない。
彼女の名前は春菜。
明るく、優しい響きがする。
容姿は中の上といったところか。大学時代の彼女に少し似ている。
やや地味だが、それなりに魅力的だ。
嫌いではない。
何よりレザーソールのパンプスに好感を持った。ハーフラバーを付けないのがこだわりらしい。それが原因で足を滑らせたのに、愚かなことだ。
だが、芯は通っている。
らしさを持つ人間は好きだ。
彼女なら、愛することができるかもしれない。
できるか、できないか、試してみよう。
どんな結果になろうと、得るものがあるはずだ。
パンプスを修理するという口実で、誘った。
彼女はいい材料になってくれるだろう。
明日からの生活が楽しみだ。
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