八咫烏

再会

“厨房”を横切り、しばらく歩いた先に見つけたその扉は、明らかにあの……正面玄関だ。

“違う　アンタはこっち”

初めてここに来た時、ハクに手首掴まれて入れなかったあの玄関だ。

そこには、表から見る限りじゃ想像も出来ないような光景があって……見るも無残って感じに大人数の靴が脱ぎ散らかされてあって、何だか残念な気持ちになった。

こんなにも大きくて立派なお家なんだから、もっと綺麗に使えば良いのに。

騒ぎ声はますます大きくなる。
正面玄関を通りすぎ、右に曲がってその先を左に曲がる頃には大騒ぎの域になる。

そんな襖をいくつか通り過ぎた頃、ようやくハクは足を止めた。