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ハクがいたんだった。
ただでさえ不機嫌だったところにスマホのおつかい頼まれた挙句、自分の存在スルーで先輩とお喋りするあたしにいよいよ堪忍袋の緒が切れたらしいハクは―――
「―――おい。いつまで俺を待たせんだよ。お前ジャマなんだけど」
左手でスマホを持つあたしの口を右側から回して来た掌で塞ぎ、尚且つあたしの耳元へと顔を寄せると……いや。
正確には“あたしのスマホ”へと顔を寄せると、忌々しさを隠さない口調ではっきりとそう言った。
もちろん、ハクのその言葉は電話の向こうの先輩に向けられたもので……
『……美月、またな』
苦笑を含んだ声でそう言った先輩は、ようやく電話を切ってくれた。
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