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「うっそマジで!?美月凄い!!」
一緒にいた友達がそう声を上げたおかげで、あたしの名前はあっさりバレた。
「へぇ、みづきって言うのか。どんな字?もしかして美しい月?」
見上げるような長身のカラスは、あたしの目の高さまで腰を折ると、そう言ってあたしの瞳を覗き込む。
ほんのりと漂う、甘い香り。
そして、微かに感じるタバコの匂い。
いきなり目の前に迫って来たカラスに、あたしは慄きながらもコクコクと頷くしかなく、そんなあたしに目の前のカラスは「髪だけじゃなくて名前も綺麗なんだな」と、恥ずかし気もなく臭いセリフをのたまった。
名前がちょっとしたコンプレックスだったあたしは、不覚にもそんな臭いセリフに少しだけ……ときめいた。
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