第1章 始まりは突然に

3/28
前へ
/29ページ
次へ
1つ思い当たったのはこれが夢である、ということだ それなら何故こんなところにいるのか説明がつく 今まで夢を夢だと知って見たことがなかったがこんなにリアリティがあるとは思っていなかった また冷たい風が小窓から扉の格子窓の方へ突き抜けた あたしは今部屋着のルームウェアしか着ていない その上、衣替えしたばかりでルームウェアは短パンにキャミソールだった この夢の寒さにあとどれだけ耐えれば眼を覚ますのだろう 夢の中で凍え死ぬなんて御免だ ほんの気休めにしかならないが体を温めるように手で摩る 夢では寒さを感じないのではなかったのか、痛みも感じないというが頭痛も治まる気配はない ずっと扉の前でうずくまっている内に段々と意識が遠のいていくのを感じた 次に目を覚ますと部屋は夜よりは明るくなっていて小窓から光が入っていた しかしここは建物の北側のようで暖かい太陽の光を浴びることは出来ないようだった 細長い部屋の奥までは光が及ばなかったが、真っ暗な格子の外を覗くことができた 格子の外はただ右も左も石造りの長い回廊が続くばかりだった、その先は暗くて何も見えない
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加