雨の記憶

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雨の記憶

そんなこんなで、都立建斗麻豊十加賀久能学園中学校(けんとまほうとかがくのがくえん)からの帰り道を歩く。 降りしきる雨の中、ふと俺達は歩道橋の手前で立ち止まる。 「フェフェッフェ。 えふおほ。」 黒いローブを着た老婆が、何やら折り畳みの机を置いてお婆ちゃんバギーに座っていた。 「なぁお嬢ちゃん達、ワシと妖怪バトルせんか?」 「魔法使いか!?」 俺は身構える。 が、よく見ると老婆は敵の魔女ではなくどうやら単なる占い師だった。 「歩道橋の下は濡れないんじゃよ。」 「会話が噛み合わない!」 占い師は何やら電子タブレットのゲームアプリを弄んでいる。 強めの雨で集客が見込めないので、 今日はゲームの妖怪集めに専念しているのだとか。 「勘違いされてますけど俺は別にトレーナーでは無いので、」 「僕、刑天持ってるよ!」 「お前やってんのかよ!!」 何と、あろう事か茉穂の奴と婆さんは意気投合し、妖怪談義に花が咲き俺一人居場所がなくなってしまった。 まぁもう慣れたけど。
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