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どうしてだろう。いつの間にか、すれ違ってしまったのは。
あなたとなら、ずっと同じものを見ていられると思っていたのに。
どうしてだろう。こんなにも好きなのに。あなたの目から、私はどんどん居なくなる。
あなたの目には、他の誰かが映ってる。
「ちょっと、修司!置いてかないでよ!」
私は息を切らしながら、学校への坂を登っていた。前の方に、呆れたように私を見下ろす修司の姿がある。
「お前、もう1年以上通ってるのに、まだ体力つかないのか」
私と修司は、いわゆる幼馴染みというヤツで、小学校からずっと一緒の腐れ縁だ。
まさか高校も一緒になるとは思っていなかったが、家が近いため、何となく今もこうして、毎朝一緒に登校している。
「だって、この坂、本当に、キツすぎる…。もうちょっと、平坦にしてくれても、良かった、のに…」
はぁ、はぁ、と私は頑張って修司の元までたどり着く。
特に運動が得意ではなかった修司も、入学した当初は私と一緒に苦しんでいたはずなのに、1年経った今では1人だけ平気な顔をしている。
「修司、あんた何でそんな涼しい顔していられるの?」
「お前が体力無さすぎるんだろ。ほら、早く行かないと遅刻する」
くるりと背を向け学校へ向かう修司を、私は慌てて追いかけた。
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