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中学の頃までは帰りも一緒だった。部活も同じ、吹奏楽部に入っていたからだ。
高校生になっても、同じ部活に入るだろうと思い、私はまた吹奏楽部に入った。
でも、修司は違った。けして得意ではなかったはずなのに、何故かサッカー部に入部したのだ。
「なんでサッカーなの?好きだった?」
そう聞くと、修司は私から目をそらした。
「別に…もうちょっと運動しようかなと思っただけ」
釈然としない気持ちのまま、そうなんだ、とだけ私は返した。
すぐに辞めてしまうんじゃないかと思っていたけれど、予想に反して修司は、1年経った今もサッカー部を続けている。
1度だけ試合を見に行ったことがあるが、修司は試合に出ることはなく、最後までベンチでずっと応援をしていた。それでもキラキラと楽しそうにしている姿を見て、私の心は何故か、ちくりと痛んだ。
それ以来、試合を見に行ったことは無い。
吹奏楽部の練習が終わり、帰ろうとグラウンドの横を通ると、そこではサッカー部がまだ練習をしていた。
うちのサッカー部はなかなか練習熱心で有名らしい。見ると、修司もグラウンドで一生懸命ボールを追いかけていた。
上手いか下手かは、私にはわからない。でも、気づけば修司の姿を、しばらくの間追いかけていた。
ピッと、笛の音がする。どうやらサッカー部も、そろそろ練習が終わりらしい。
声をかけようか悩んでいると、1人の女の子が修司に駆け寄っていくのが見えた。
新しく入った1年生のマネージャーのようだった。
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