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たどり着いた世界
世界の終焉を望むものターミネーター。平和を望んでいたものたちが激動によって呑み込まれ在り方を壊された。人は愚かで卑怯者だ。個々の身体に流れ込む記憶は裏切り、憤り、傲慢、リンチ。多くの弱者が生命の果てまで見た。笑い声が身体を蝕むように侵し、心臓を抉るような眼差し。この身体は生前の姿。集合体が器に無理やり積み込まれたものだ。憎悪だけが彼らの在り方を支えている。
円を作るように玉座が6つ並んでいる。空席は余すことなく埋められていた。
「残りの停止まで後6つ。もうすぐ私たちの願いが叶う時が来ました」
上品で淑やかな声を発したのは女性。マリアだ。身なりは膝まで掛かる白いワンピースにその上に薄水色の羽織。肩まで掛かるカールの髪型。オレンジ色に輝く瞳の色が彼女の特徴だ。
「ターミネーターとしての役目はもうすぐ終わる。あんたらはどこに還るんだ」
足と腕を組みながら尋ねたのは黒い外套を纏った軍服の青年ダンテ。顔立ちは中性的で冷静沈着に見つめていた。
「何も残らないよ。私たちに還る場所なんて無いのだから。世界に反逆をした私たちにね」
ダンテの言葉を否定するように花柄のミニ浴衣を纏った少女。マリンが言った。
「僕らは悪いことをしていない。これは僕ら個人の問題ではないんだ」
塗り替えすようにマリンの言葉を遮ったのは少年。ノエルが言った。半袖半ズボンにチェックの入った制服を着ている。
「そのとおり。私たちが今を居ることができたのは彼らのおかげなんだよ」
ノエルの言葉を肯定するように少女。スミレが胸に手を置きながら言った。手に熊のぬいぐるみを大事そうに持っていた。
「聞こえるとも。私たちを生かしてくれた彼らに願いを叶える義務がある。精一杯歌を届けましょう」
自分の手を見つめ握り締めながら言ったのは少女。カノン。頭にヘッドマイクを身に付け黒のレースの入ったワンピースを着こなしている。
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