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「昨日リナが突然キスをしたのを憶えている」
コハルの言葉にリナリアは息を呑むように頬を染めた。
「うん」
「あの時は凄く驚いて何も伝えることが出来なかったけど、リナの気持ちを知ることができて嬉しかった。リナに愛されていたんだって」
「コハルは私のことをどう思っているの」
リナリアから緊張が伝わってくる。なんだかこちらまで緊張してきた。
「僕は…リナリアの事が」
言葉を紡いでも伝えようとするとリナリアの手をこちらに寄せるように引張た。
「コハル…?」
唐突に引っ張られてリナリアは驚いていた。
「怪我は無い」
「どうしたの。急に顔が険しくなって」
「昨日の影がまたいるんだ」
照らされた地面が影をつくり、そこから湧き出たのは昨日と同じ生物だった。数がどんどん増えていき退路が塞がれた。
「大丈夫。ついているから」
怯えているリナリアを宥めるようにコハル言った。じりじり迫ってくる影たち。コハルはリナリアを抱きしめながら身構えた。一体の影が飛びかかってきた。痛みに備えても痛みは無かった。
「え」
襲ってきた影が空中で消滅した。コハルの手にはブーケ。ガーベラが咲いていた。
「これでどうしたらいいんだ」
コハルは叫ぶとブーケが姿を変えた。花をモチーフに剣先がガーベラの花で連なり、鍔までガーベラで構成されている。変わった武器だった。
「ちょっと、待ってて」
コハルはリナリアを解放すると影を消滅させた。
★
「これで終わりかな」
粗方、影を消滅させたコハルは吐息を吐いた。
「コハル、後ろ危ない」
リナリアが指した方向にコハルは影を突いて消滅させた。
「ありがとう。助かった」
コハルが手にしていた剣がブーケに戻った。
「コハル守ってくれてありがとう。怪我してない」
「大丈夫さ。そうだリナこれ持ってよ」
手にしていたブーケをリナに渡した。
「可愛い花ね」
「さっきの話だけどさ。この先世界が眠ってても起きてても傍に居てくれますか」
言ってコハルは膝を着いてリナリアを見上げた。コハルは言葉を続ける。
「コハル・シュバリエはあなたを愛してます」
リナリアの瞳に涙が伝う。
「私もあなたの傍にいます。リナリアはあなたを愛してます」
差し出されたコハルの手を取りリナリアは言った。
「本当に世界が眠ってしまっても僕はリナを必ず探しにいきます。この花飾りに誓って約束します」
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