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花飾りを外し両手で持ちながらコハルは言った。
「ずっと待ってます」
リナリアはブーケと花飾りを交換すると花飾りをコハルの頭に付けた。ゆっくりコハルは立ち上がると
「うん。似合ってる」
いつかの日に見せたリナリアの笑顔があった。
★
世界が消える運命がすぐそこに迫ってもそれでも俯かずに前へ進める。リナリアが自分探しの大事な答えを教えてくれた。感謝しかない。だから僕は言うんだ。
「リナ。僕に誰かを愛する気持ちと愛される気持ちを教えてくれてありがとう」
森の中をずっと動かしていた足は止まった。
「突然どうしたの。いきなりお礼を言うなんて」
リナリアも止まり笑いながら言った。
「そのまんまだよ」
コハルも笑いで返した。
「変なの。今もこうして笑っていられるのはコハルのお陰だよね」
リナリアは笑ったまま返した。
「もし、僕がリナを迎いに行くことができたらリナは何かして欲しいことは無い?」
「何もしなくていいよ。傍に居てくれるだけで幸せだから」
「そっか」
止まっていた足は再び歩き出す。もうすぐ森を出てしまう。この先は何が待っているのか分からない。握っていたブーケが武器へと姿を変えた。
「この先は危ないかも知れない。安全なところがあったら隠れて」
「うん」
森を出て行くと前にあるのは赤い稲妻を走らせた大きな物体。周囲には祈りを捧げるように顔に触覚を生やした影。膝で立って命を預けるように両手を広げていた。遠くからでも分かる。まるで何かの儀式だった。
「これは」
リナリアは口を両手で置き叫んだ。
今からが終焉を迎えるかもしれない。地面に小さな影が現れコハルに飛びかかった。
「やられてたまるか」
ブーケでなぎ払い影を消滅させた。次々と現れる影。周囲に隠れる場所がない。だから
「リナ、僕の傍から離れないで」
コハルは片手でリナリアを守るように構えた。
「コハル無理はしないで」
リナリアに振り向くとコハルは笑顔で頷いた。
「もちろん」
★
守りながら戦うのが辛くなってきた。コハルは乱した呼吸を整えると小さな影を睨みつけた。
「次から次と」
「コハル」
リナリアの叫びがコハルを呼び起こした。知らない間に一瞬の隙を突いて別の影がリナリアを沈ませた。
「リナ」
コハルは駆けつけてリナの手を握った。引張るとリナはうめき声を上げた。
「リナごめん。助けるから」
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