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リナリアの身体を引き上げるどころか段々沈んでいた。
「もし、本当に別の世界でお互い生きていたら今度はコハルが迎えに来てね」
先ほどの表情と別に笑顔を見せた。消え入りそうで寂しさがが伝わる笑顔ではなく、心から楽しみにしている笑顔だった。そんな笑顔を見て何故か安心した。必ず会えそうな予感がしたから。
「分かった。今度会った時は仲間を連れて迎えに行く。必ず追いかけていくから」
コハルの言葉にリナリアの頬に涙が伝っていた。握っていた手は引き裂くように離された。
「待っているから」
言葉とともに影がリナリアを完全に飲み込んだ。コハルはゆっくり立ち上がると呼吸を整えた。
「来るなら来い」
ブーケを構えながら叫ぶと小さな影は纏まって集まった。小さな影どおし融合を果たして大きく成長した。それは融合群体。まるで散らばった水滴がひとつにまとまったような姿だった。
昨日みた影と姿は違う。融合群体はコハルを見下ろしている。
「約束をしたんだ。リナを迎えに行くって。こんなところで負けるか」
コハル自身も昨日とは違った。臆することなく融合群体を見上げた。
融合群体が拳を振り下ろしコハルは躱した。外して頭に来たのか闇雲に拳を振り下ろした。全て躱すと融合群体は身体がふらつき倒れた。
「ラッキー」
コハルは大きく跳躍すると脳天を突き刺すようにブーケを振り下ろした。融合群体は声ならぬ声をあげながら消滅した。消滅を見届けたコハルは大きな物体の方へ見つめると、祈りを捧げていた影たちが大きな物体によって吸い込まれていた。掃除機のように吸引し全てを呑み込もうとしていた。しがみつける物はなくコハルは大きな物体へと飛ばされた。
死んでも生きてても必ず迎えに行くから。絶対にだからリナも生きてて。
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