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治安がいい街で僕はリナリアと再会し約束を果たした。僕の誕生日に交わした一緒に自分探しの旅に出る約束。
「コハル。約束守りに来たよ」
今にも抱きに来そうな勢いで駆けつけてきたリナリアはにっこり微笑んだ。容姿は内巻きボブ髪型で淡い桃色。白いトップスを覆うように水色のジーンズ。太ももまで掛かるボトムス。まるで遊びに行くような格好だった。
「うん。約束を守ってくれてありがとう」
もちろん笑顔で僕は返した。
「まだ付けてくれたんだね。誕生日だけでよかったのに」
はにかみながらリナリアは言った。
「誕生日だけ付けるなんてもったいないじゃない。時間を掛けて作ってくれたんだから」
「ん、うん」
はにかんだままリナリアは頷いた。
「それに、その格好可愛いと思う」
「そう」
コハルの言葉にリナリアは尋ねた。
「うん」
コハルは力強く頷いた。
「ありがとう。コハル」
強ばっていたリナリアの表情は嬉しそうに言った。
これからの自分探しは楽しめそうだ。
★
再会を果たしてからリナリアと話しながら歩いていた。
ひとりの間は寂しく無かった?身体を壊さなかった?怖い思いしていなかった?などたくさん心配してくれた。それが嬉しくて
「ううん、リナリアが傍に居てくれて元気になれたよ。心配してくれてありがとう」
と返したらリナリアははにかむように頷いた。
「そっか。うん」
「そういうリナリアはひとりでここまで来るの大変だったじゃない?」
「大変じゃなかったよ。私が強くなれるきっかけをコハルが作ってくれたから」
「何かやったかな?」
思い出そうと首を傾げながら考えるコハルにリナリアは一方前へ飛び出しコハルと向かうと笑いながら言った。
「コハルはコハルのままで居てくれたらいいんだよ」
「そっか。リナがそう言うんだったらね。これから探しに行こう」
「コハルは優しいね」
リナリアから見て僕は優しい人に見えているんだ。僕は僕が分からないまま分からない。けれどリナリアはどんな人なのか分かる。
「ずっと友だちで居てくれてありがとう。血は繋がっては居ないけど姉弟みたいに居てくれて、大好きなお姉ちゃんだよ」
「いきなり、お姉ちゃんは止めてよ」
はにかみながら返すリナリア。思った事を口にしてくれるからリナリアの人柄が好きだった。だから僕も言いたい事が言える。
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