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「ごめんごめん。でも旅立つ前ずっと一緒だったでしょう。同じ家に住んでいたんだし」
「それは、そうだけど」
もの言いたさそうなリナリアの手を取り
「わかった。一緒に行こう。旅は始まったばっかりなんだから」
「うん、行こう」
ふくれっ面を見せていたリナリアの表情は可愛らしい笑顔で頷いた。
★
空が赤く染まった頃に背景が真っ赤に染まっていた。海が見える場所でコハルとリナリアは夕日を見つめていた。
「そう言えば最後に居たときはこんな空だったね」
コハルは夕日を見つめたまま行った。
「うん。コハルの誕生日だった。あの頃の約束を果たせて嬉しかった」
リナリアも笑いながら夕日を見せてた。
「リナはどんな自分探しを目指したの」
夕日から目を反らしリナリアを見つめた。釣られてリナリアも夕日から目を反らしコハルを見つめた。
「分からない。分からないから探してきたの。コハルは」
「リナもか。僕も分からないんだ」
困った笑顔を作っているとリナリアは
「一緒だね」
笑いながら言った。
「これから進む未来に探していればきっと見つかるって信じている。あの夕日のように濃くて大きい自分に出会えると」
「うん」
コハルの言葉に頷くリナリア。
「ねぇこは・・・」
リナリアの声を遮るように街から悲鳴が聞こえた。
「何だ」
街を見つめながらコハルは言うと次は地面が小さく揺れた。
リナリアが小さな悲鳴を上げ、庇うようにコハルは支えた。
「大丈夫?」
リナリアが頷くと、コハルは手を握りしめた。
「まだ揺れているけど僕の手を掴んで」
リナリアがコハルに抱きついた。
小さな揺れがだんだん収まっていくのを確認するとリナリアは慌てて身体を離した。
「ご、ごめん」
「いいけど怪我は無い?」
今にも泣きそうな表情でリナリアは頷いた。
「よかった。歩ける?」
立て続けに質問にリナリアは頷いた。
「うん。とりあえずこの場所から離れよう」
慌てる事なくリナリアを支えながら立つと空間を突き破るように見たことのない生き物が現れた。
「囲まれていない内に逃げよう」
リナリアにそう言うとコハルは手を握ったまま駆けて行った。
何がどうなっているんだろう。
★
見たことない生物を捲いた後茂みに隠れていた。周囲は何もない。
「コハルごめんね。怖くて私何も出来なかった」
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