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泣き叫びながらコハルの身体にしがみつくように抱きついた。
「ちょ、首を締めないでって」
コハルは身体を引き離そうと肩を持ち上げた。
「だって、痺れたら支えがいるでしょう」
「それは、わからなくもないけどこっちは呼吸が出来なかったんだから。さすがに引いたんじゃないかな痺れは」
「収まっては来たかも」
けろっとした趣でコハルから離れた。
「はいはい。よかったですね。というかどうして膝枕したの。足が痺れるの目に見えているはずだけど」
「それは…コハルの寝顔が可愛いからよ。女の子は可愛い物が好きなんです」
「それを見るためにやったの」
問いにリナリアは頷いた。
「わざわざ横からみたらよかったのに。それはともかく生きててラッキーだよね」
「うん。さっきの訳わからないのは追いかけてきてないみたいだけどね」
「念を押すけど歩ける。さっきの転倒で足を挫いたとか」
今度はゆっくり立ち上がり手をコハルに手を差し伸べた。
「うん大丈夫だよ。さっきはごめんね」
「よかった。足をくじいて立てなかったら心配してた」
コハルはリナリアの手を取り立ち上がった。
「どこに向かおうか」
リナリアは海を眺めながら言った。
「さぁ、あんな変な生き物たちを見てなくても目的地は分からないままだったからね」
コハルも海を眺めながら言った。
「そうだね…ふぇくち」
リナリアがくしゃみして
「だ、だいじょ…ふぇくちゅ」
コハルもくしゃみした。
「海に落っこちたんだもの。風邪引いて当然だよね」
赤くなった鼻をこすりながらリナリアは言った。
「ここで焚き火するのは目立つし。どこか目立たない場所はないかな」
コハルが周囲を見渡すとリナリアは洞窟の入口を指した。
「あそこに洞窟があるよ」
「行こうか。猛獣とかいなかったらいいけど」
★
洞窟内は虫や爬虫類、猛獣はいなかった。つい最近誰かが生活していた跡があり、焚き火に必要な木や枯れ草はたんまり残っていた。休む環境としては申し分なかった。しかし、食料は探すにもあの生き物と遭遇したら対処はできないから断念した。何か武器があれば出来たけどやはり難しかった。
「こういう時って服を脱がないと身体は温まらないよね。服も乾かないし」
なんて言いながらリナリアはコハルの前で上着を脱ぎ始めた。
「年頃の女の子が男の前で堂々と脱いだらだめでしょ」
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