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コハルはそんなリナリアを制止した。
「もう姉弟みたいな関係でしょう。赤の他人じゃ無いんだから」
なんて言いながらトップスのボタンを開け始めた。服を全部脱いだことで着るものは何一つないし藁だけで逆に寒くなるし・・・。そういえば
「あのさ、着替えが無くても身体が温まる方法を思いついたんだけど」
「寄り添うの」
「たしかにそうだけどそうじゃなくてこれを使うんだ」
コハルは地面を掘り土を掴んだ。
「何に使うの」
「身体に塗るんだ。冬の季節に馬は体温を保つためにやってるんだ。体は汚れてしまうけど健康管理には申し分無いんだよ。後はあの藁で覆えば明日の朝になるころ元気になれるって」
コハルは腕に土を塗りながら言った。
「コハルは1人の間に学んできたんだね」
感心したようにリナリアは言った。
「うん。まだ知らないことがたくさんあるんだけどね。あっち向いて身体を塗るから。あ、その前に僕はこっちに寝るから」
牧草を運ぼうとするコハルにリナリアは手を握った。
「今日だけ、隣に寝てくれないかな」
何か聞いてはならない言葉が聞こえて
「へ」
固まった表情を浮かべながらコハルは返した。
「今日みたいな出来事でひとりで眠るのは怖くて」
それは確かにそうだけど
「違う部屋にいるわけじゃないんだし。起きる頃土は剥がれているかもしれないんだよ」
5年前だったら普通に寝てたしちゃんとした服着てたからよかったかもしれないけど。いくら姉弟だとしても服を着てない今ハードル高いじゃないか。
「それでもいいから。私の近くでいて欲しいの。お願い」
切羽詰まった声でコハルは小さく吐息すると
「分かった。安心して眠って」
「コハルありがとう」
嬉しそうにリナリアは言った。
「あっち向いてるから本格的に風邪引く前に塗っとくんだよ」
言って土を掘りながらコハルは言った。
「うん」
★
焚き火は付けたまま放置した。この温度がちょうどいいし明るいし服の乾きは早くなるだろう。ちゃんと乾くか分からないけど。
牧草で身体中覆われてコハルとリナリアは並ぶように寝た。
「今日みたいな日は凄く怖かったけど楽しかったな」
リナリアは呟いた。
「どうして」
「コハルと一緒に居れたからだよ。ひとりだったら勇気は無かったし、物事に決断する覚悟なんて無かった」
首だけ動かしにっこりとリナリアは言った。
「そっか」
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