第5章 潜入 悪霊の巣窟へ

5/56
前へ
/1556ページ
次へ
『輝耶の魔の手を交わすことができるのか? 成海慧子の誘いですらきちんと断れなかったではないか?』 『あれは、じっと僕のことを見ている吉田さんのことが気になったからだよ』 『ああ……冬弥があの女にあんなことや、こんなことをされてしまうとは』 『孤月、お願いだから変なこと考えるのはやめて』 『きっと、嫌がる冬弥を縛りつけ、無理矢理押し倒して』 『僕、そういう趣味ないから』 『冬弥になくてもあの女にあるかもしれないではないかっ! いや、あるいは気分がおかしくなる薬を飲ま………』  孤月ははっとなってテーブルの上に散乱している薬類に視線を向ける。 『もしや、おかしな気分になるという薬がこれ?』 『違うよ』 『何故そう冷静でいられるのだ!』 『冷静じゃないよ。これでもかなり緊張……してたけど、孤月のおかげで気持ちに余裕ができたよ』 『そうか?』  足音が扉の前で止まった。
/1556ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6600人が本棚に入れています
本棚に追加