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ぎしりと扉がきしむ音を聞き、冬弥は大きく息を吸って吐き出した。
ようやく輝耶本人と直接相対するのだ。
「お待たせしてごめんなさい」
付き人が開けた扉から、軽快な足どりで輝耶が部屋に入ってくる。たちまち部屋中にきつい香水の香りが充満する。
ソファから立ち上がりおじぎをする冬弥に、輝耶はどうぞ座ってと仕草で示す。
輝耶と親しそうにしていたあの男の姿は見あたらない。
代わりに女性の付き人が輝耶の側に控えている。
その付き人も席を外すよう輝耶は目配せをして合図する。
部屋には二人きりとなった。といっても、弧月が側にいるが。
さてこの場合、初めましてと挨拶するのもおかしいだろう。
ここは、いきなり本題に切り込むほうがよいのか。まずは相手の出方を確かめつつ。
「先日の相談会ではお騒がせをしてしまい申し訳ございませんでした」
と、あの時勝手をしてしまったことを一応詫びておく。
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