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「修行、ですか?」
「そう。その力はあなたに与えられた特別な力。でも、子どもの頃はその力のせいでみんなからいじめられたりもしたでしょう?」
「はい」
「私にはあなたの気持ちがとてもわかるの。だって、私もそうだったもの。何度こんな力がなければよかったのにと思ったか」
まあ、確かにそう思ったこともあった。
「本当のことを言っても人には理解してもらえない。話せば頭のおかしい人だと思われる。それどころか、嘘つき呼ばわりされることも。けれど、そのことを口にせず胸にとどめていれば何を考えているのかわからないと非難されて。そうでしょう?」
「そんなこともありました」
「私も不動明王様という強い力を得てどれだけ回りから恐れられたことか」
『また不動明王か』
孤月はうんざりとしたように吐き捨てる。
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