第5章 潜入 悪霊の巣窟へ

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 輝耶の手が冬弥の手の甲を這い、さらに太腿に触れた。  漂うきつい香水の匂いにむせそうになる。  それ以上にきついのは、鼻の奥をつんとかすめる悪臭。  これは輝耶に取り憑いている悪霊たちから放たれる異臭だ。  一方、いきなりの展開に孤月はソファの上に立ち上がり、顔色を変えあわわ、とうろたえる。  口ではなかなかきわどいことを言う孤月だが、根は純真なのだ。 『ちょ……ちょっと待て! 冬弥に何をする! 冬弥もその女の手を払いのけろ!』 「ねえ、これから若い子たちと出かけるの。あなたも来なさい」  若い子というのは、言わずもがな若くて見目の良い男の子たちのことだ。  これも舘ノ内さんから聞いた話だが、輝耶は目をつけたお気に入りの男の子たちを側にはべらせ食事などに連れ歩き、その中でも特に気に入った子を自宅のマンションに連れ帰るのだ。
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