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孤月は身を起こし、両脚を投げ出すようにしてその場に座り込む。
「あの時、力を暴走させて冬弥に怪我をさせてしまった」
冬弥はああ、と言って自分の頬に手をあてた。
天井から落ちた蛍光灯の破片が飛び散り頬をかすめたのだ。だが、ほんの少し血が出た程度でどうってことはない。
「こんなの怪我っていうほどじゃないよ」
「だが、わたしは冬弥を傷つけてしまった。何があっても守らなければいけないのに」
孤月は目に浮かんだ涙を手の甲で拭う。
「冬弥に嫌われたと思った。もしかしたら、わたしのことなどもう側に置いておきたくないと」
「孤月……」
「役に立たないから、わたしのことなど必要ないって。だから消されてしまうかと思って……」
冬弥はそっと孤月の頭に手を置いた。
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