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おずおずと椅子に腰をかけた坂之上由基美は、憧れの輝耶を前に祈るように手を組み、目に感激の涙をためている。
「輝耶様に会えるなんて幸せです」
「ええ、こうしてお会いできたのも何かの縁でしょう」
『ふん。縁は縁でもそこの娘にとっては悪縁だな。この似非霊能師は客のことなど、単なる金ずるとしか思っていないのだから』
冬弥の側で孤月が悪態をつく。
今日の輝耶はすっきりと髪を束ね、ごく普通の真っ白なツーピースを着ている。
先日の相談会で見せた巫女さんふうの格好はしていないし、おかしなパフォーマンスも今日はやらないようだ。
冬弥はほっとする。
すぐ側であれをやられてしまっては、リアクションに困ってしまったであろう。
とりあえず、ありがたい。
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