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目の前に横転したバイクと、横断歩道の側に立つ電柱に衝突した自動車。
バイクの側には男性が倒れていた。おそらく若い。
まだ十代くらいの少年。
た、た、た、大変だ!
事故だ!
早く救急車を呼ばないと!
「君! 大丈夫か!」
さらに、もう少し離れた場所に別の男が仰向けで倒れていた。
頭から大量の血を流し、辺りを真っ赤に染めている。
「そっちの人も、だい……?」
そこで、男は倒れている人物を見て唖然とする。
ぐったりとそこに横たわっているのは、見慣れた冴えない顔。
え? 僕?
絶叫が交錯する交差点で、男は茫然とその場にたたずんだ。
息のない自分の姿を見下ろして。
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