第10章 捕らわれた冬弥

2/84
6588人が本棚に入れています
本棚に追加
/1556ページ
「私、ほんとに恥ずかしいくらい泣いちゃった。それも、あんなところで大泣きして緋鷹先生に迷惑かけちゃったかも」 「それはないから安心していいと思うよ」 「ほんとかな?」 「迷惑だと思うなら最初から来ないと思うよ」  それに、慰めるためとはいえ、美咲を抱き寄せたりなどしない。 『そうそう。迷惑どころか、自分の家に連れて帰ろうとしたくらいだからな!』  と、孤月は顔を歪めながら言う。 「そうかな……」  美咲は頬を赤らめた。 「でも、だいぶすっきりしたみたいだね」 「はい」 「とにかく、師匠がああ言ったなら信じていいよ」 「もうこれ以上、私に悪いことは起きないっていうことですか?」  冬弥はうなずく。  それに、美咲のあごに手をかけたとき、師匠はさらに美咲の何かを読み取っていた様子だった。
/1556ページ

最初のコメントを投稿しよう!