第11章 呪念の応報

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 結婚生活はうまくいかず、崩壊していく家庭。  しんと静まりかえった家。  会話のない生活。  これが本当に夫婦だと言えるのだろうか。  私のことを必要としていないのなら、いっそうのこと別れてくれたらよかったのに。けれど、そう思いながらも心のどこかで夫を愛している自分がいたのかもしれない。  いや、夫に必要とされ愛されることを望む自分が――。  このことを友人に相談すると、別れてしまうべきだと言われた。  だが、一人で生きて行くすべをしらない私は、その決断に踏み切ることはどうしてもできなかった。  裕福な家に生まれ、何不自由なく育ってきた私は、子どもの頃から苦労などしたことがなかった。外で働いたこともなく、短大を卒業と同時にすぐに結婚して家庭に入った私が、どうやって女手一人でまだ幼い息子を育てながら生活をしていけるのだろうか。
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