第11章 呪念の応報

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 実家では、老いた両親を兄夫婦が面倒を見ている。だから、実家には帰ることもできない。  一人で生きていく覚悟もなく、結局夫に頼らなければ生きていけない。  だから、自分が我慢をすればいい。  耐えればいい。  そう自分に言い聞かせてきた。  それでも、まだ一人息子の京介が家にいるうちはよかった。けれど、息子も大人になり、就職が決まったと同時に家を出て行ってしまった。  孤独。  虚無。  寂しさが私の心をやがて少しずつ、そして確実に蝕んでいった。  そんなある日のこと、私の寂しさにつけこんできたのが近所の主婦であった。  今評判の輝耶というスピリチュアルカウンセラーの先生が相談会を開くから一度、視てもらうといいと言ってきたのだ。  そして、その主婦に誘われ連れられて来たのが〝輝耶心霊相談所〟だった。
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