第11章 呪念の応報

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 取引先の会社に向かう途中、駅のホームで倒れたのだ。  脳溢血だった。  すぐに救急車で病院に運ばれたが、夫は搬送先の病院で亡くなった。  そこで知った愕然とさせた事実。  夫の浮気をずっと疑っていた私であったが、夫は清廉潔白だった。  本当に家族のため、会社のために、働いていたのだ。  ただ、不器用だっただけ。  いや、違う。  本当の原因は――。  夫が倒れたと連絡を受け、急いで病院に駆けつけようとしたちょうどその時、宅配が届いた。  それは手に抱えきれないほどの花束であった。  差出人は夫。  花?  いったい何だろう?  花束とともにメッセージがあった。  右肩上がりのその文字は、まぎれもなく夫の字であった。  そのメッセージを読んでいくうちに手が震えていた。
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