第1章 霊能師 稜ヶ院冬弥

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 雲一つない真っ青な空が広がる昼休み。  大学内の一角にあるベンチに腰をかけ、冬弥は持参したお弁当を広げた。  さっと吹き抜けていく初夏の風が心地よい。  こんな日は外の風景を眺め風を感じながらお昼を食べるには最高だ。 「ほう? 今日はサンドイッチか。うまそうだな」  ベンチに座る冬弥の横に、七、八歳くらいの少女がお弁当の中身を覗き込むように身を乗り出す。  お弁当に詰められたサンドイッチは色とりどりで、見た目も華やかで眺めているだけで楽しい。  茹でた鶏肉をバジルとマヨネーズであえたチキンサンドとみじん切りにした玉ねぎとツナのサンド。  定番のたまごサンドはたまごがしっとりふわふわだ。  おかずにはタレにつけ込んだ鶏の唐揚げ。からっと揚がって冷めてもおいしい。それに、昨晩の残りもののミートボールの甘酢煮。カッテージチーズと混ぜたかぼちゃのサラダ。  どれも一手間かけられたもので、すべて冬弥の手作りだ。
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