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「さて」
「今日のお弁当は何を作ったのだ? デザートもあるか?」
「もちろん」
孤月はきらきらと瞳を輝かせ、待ちに待った冬弥お手製弁当を前に、嬉しそうに手を叩く。
「おお! 楽しみだぞ!」
思えば、舘ノ内さんの依頼のこともあって忙しかったため、こうしてのんびりお昼にお弁当を食べるのも久しぶりのような気がする。
いつものように孤月と二人、大学構内のベンチに腰をかけ、お弁当を開こうとしたその時、成海慧子に声をかけられた。
「冬弥くん」
声がした方に顔を向けると、少し離れた場所に成海慧子が立っている。
「成海さん、どうしたの?」
そういえば、彼女と言葉をかわすのも久しぶりかもしれない。
「うん……」
『なんなのだあの女? いつもと様子が違うではないか?』
いつもだったら遠慮なしにぐいぐい迫ってくる彼女だが、孤月が言った通り、今日はどこかおとなしい。
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