5.- ASURA -

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ギルドの中はいくつかのブースに分かれている。アスラはその中でも、一番端の人の少ないブースに近づき、受付をした。 「この者の、身分証をつくりたいのじゃが。」 そういうと、受付の女性は笑顔でアスラを見た後、少しだけ固まったが、すぐに笑顔を浮かべ直した。 「こんにちは。アスラ様。只今別室へご案内しますのでお待ちください。」 受付の女性は、隣の受付をしている者に声をかけ、アスラとリヒトを二階へと案内した。 そしてある部屋の前で立ち止まり、ドアをあけ、中の椅子をすすめる。 「只今、マスターを呼んでまいります。少々お待ちください。」 アスラは勧められるままに椅子に座ったが、隣のリヒトはわけがわかっていないようだった。不思議そうな顔をして、小さく椅子に座っていた。 「占いの話はしたな。世界の選択の話は、世界の王や長、一部の有力者は知っておる。混乱をせぬために一般の人にはまだ知られてはおらぬがの。その選択に備えるため、王や領主たちは街を擁壁で囲ったり、日持ちする食べ物を栽培したりと色々備えをしておるのじゃ。だが、準備をするためには人が必要じゃろ。その人を確保するためにギルドが動いているのじゃ。だからきっと、ギルドの職員は占いの事をしっておるのじゃろう。あの受付は、わしと一緒にいるおぬしが、あの占いの一人であると思いマスターを呼びに行ったのじゃ。なかなかの切れ者じゃな。」 話し終えると、タイミングよく、ノックの後に、扉が開いた。 入ってきたのは一人の女性であった。 「ごきげんようアスラ様。私がこの町のギルドマスターをしているミラ・ノヴァです。」 「ミラ殿、ご足労をおかけする。こちらの者の身分証の発行を願いたくて、伺ったのじゃ。」 「受付の者より聞いております。門番より預かった仮の身分証を頂けますか。」 アスラが渡すと、ミラは仮の身分証へと、なにことかをつぶやいた。 身分証が淡く光り、そして、リヒトへと手渡す。 「これであなたが触ると、自動で認識されるようになります。」 リヒトが手にすると、身分証の表にリヒトの名前と他にも幾つかの言葉が浮かび上がった。 「これで完了ですが、身分証の説明をお聞きになりますか。」
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