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1.- ASURA -
「西に光あり」
水晶に浮かび上がった文字を見て、アスラは箒にまたがり外に出た。
ついにこの日がやってきたのだ。
始まりは、数ヶ月前のある日。
アスラはいつものように水晶の前に座り、祈りをささげていた。
これはアスラの日課で、魔女の見習いの時から、毎日欠かさず行われていることだ。
水晶の前に座り、意識を空にして水晶と意識をシンクロさせる。
すると、世界のいろんな景色や言葉が浮かび上がる。
アスラはその占いに従って日々を過ごしているのだ。
この占いは、古くから伝わる魔女としての知識の一つで、アスラはその中でも、特別に優秀であった。
アスラの占いは、村の人はもちろん、遠方の王様や他種族の長にも頼まれることがあるほどの精度と人気ではあったが、その依頼を受けるどうかも、アスラの占いで決まり、占いで依頼を受けることにならなければ、アスラに会うことすらできないほどであった。
だが、これはあくまで占いであり、未来予知ではない。占いの結果が起きる可能性がかぎりなく高いというだけで、絶対にそうなるわけではないと、アスラはよく理解していたし、依頼人にも必ず伝えていた。
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