1.- ASURA -

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
水晶にはっきりと言葉が浮かんだ。 「闇が蔓延り、命は輝きを失う。世界は選択を迫られる。」 その後に、人も動物も魔物もすべての生き物が死に絶え、大地が枯れ果てる景色が浮かんだ。 あらゆる場所で終焉が訪れ最後にまた浮かび上がった言葉。 「北に力。南に愛。西に光。東に知。その時に備えよ。」 それきり水晶は元の水晶に戻った。 アスラは疑う余地もなく、選択の時に備え行動を始めた。早速、各国の王に手紙を書き、またある時は各種族の長をたずねて、水晶に浮かんだ事を話し、また異変がないかを聞いてまわった。 そして、少しずつ明らかになる魔物の異常行動や突然変異。広域に渡り異変は既に現れていたのだ。調査で異変はすぐに分かったが、それぞれの王や長をもってしても、原因は何一つとして分からなかった。 アスラはそれと同時に、北と南と西にも足を運んでいた。力と愛と光を探すために。 北の力と、南の愛は、すぐに出会うことができた。だが、まだその時ではないのか、各々の試練の最中で、世界を救うどころではなかった。 先の見えぬ試練に挑む二人に、アスラは再会を約束すると、残りの光を探しに西に向かった。東の知恵はアスラのことであると確信していたのだが、西だけは分からなか った。西をどれだけ探しても、何の手がかりも得られなかった。     
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!