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2.- LICHT -
「おぬし、名前は?」
「名前はリヒト。リヒトだと思う。」
記憶がはっきりとしなかった。というか、混乱しているように思う。確か、リヒトは孤児であった。小さいころに両親と死に別れ、教会でほかの仲間と共に過ごしていたはずだった。教会はとても貧しく、満足に食事をたべることもできず、たまに出来ても、力の強いものが、弱い者の食事をとることもしばしばあった。そのため、リヒトはとても細く、また飢えていたのだ。
リヒトは、自分が死に、黄泉の世界に来たのかと感じていた。
「そうか。リヒト、少し話がしたいのじゃが、その前に、食事でもどうじゃ?」
リヒトがうなずくと、アスラはリヒトに近寄り、手を握る。そして気がつくと、一面の草原から、石造りの町の入り口へと景色が変わっていた。
「ここは?」
「ライラの街じゃよ。言ったであろう。箱庭の魔女と。まずは食べ、それから話をしよう。」
入口には門番らしき者もいたが、アスラに気がつくと、気軽に中へと入れてくれた。
リヒトはわけがわからなかったが、そのまま大人しくついて歩いた。
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