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案内されたのは、家庭的な雰囲気のお店だった。
アスラは、リヒトに好みを聞くと、さっさと注文をした。
「おぬし、まともに食事をとっておらなんだのではないか。まずは粥をたべたほうがいい。」
しばらく待って出されたものは、何かのお肉とミルクの粥であった。リヒトは初めて食べる料理ではあったが、優しい味に涙がこぼれた。ここは誰も自分の食事をとるものはいない。ひと匙ひと匙を噛みしめるように、ゆっくりと食事を味わった。
リヒトは全て食べ終わると、アスラが温かい目で見ているのに気がついた。
「ごちそうさまでした。」
「うむ。」
「ここのお金は?」
「心配せずともよい。それくらいの銭はわしでも持っておる。それより話をしたいのじゃが、よいか。」
それから アスラに話をされた内容はにわかに信じがたいものであった。
まず、自分は箱庭の魔女と呼ばれている存在であること。
占いが得意で、数ヶ月前からの占いに世界が終焉に向かい人々は、死に絶えると出ていること。
だが、アスラが言うには、その前に選択の時があり、その選択を間違えると、終焉を迎えるのではないかとのことだった。
北の力。南の愛。西の光。東の知。それらの力が合わさり、準備が間に合えば、違う未来が訪れるはずであると。
そして、更に驚いたことに、東の知は目の前にいるアスラであり、西の光はリヒトのことであるという。
なぜ自分が??その思いが消えなかった。
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