3.- ASURA -

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二人は食事を終えて、店を出る。 「それじゃぁ 家に帰るとするか」 というと、アスラはさっと手をつなぎ、転移をする。 アスラのねぐらとしている森の家だ。 隣を見たリヒトがとても驚いているのが分かった。 そういえば、先程の説明で自分の話をしていなかったことを思い出した。 「わしは唯一、世界を移動することができる存在。世界を庭の様に移動できるから、箱庭の魔女とよばれておる。」 「どこでも自由に行くことができる?」 「いや、正確には一度行った事のある場所、そして、そこに魔法で示した印がないと行くことができぬ。 一度行っても印がなければその場所には行くことができぬし、また、わしが触れているものしか、同時に移動することができぬのじゃ。」 アスラは少し笑い、 「多分に便利な能力ではあるが、全能ではない。わしの能力を知って、王たちは転移できないように主要な場所には結界をはっておるし、わしも町の入り口以外の場所には印を残さぬようにしておる。王が暗殺されるたびに、わしが疑われるのもなんじゃからの。」 そして、二人は家の中に入った。リビングやキッチン等の部屋を通り、奥の部屋へと向かう。 アスラは、一番奥の部屋を開けると、さっと浄化の魔法をかけた。そして、自分と、後ろのリヒトにも同じように魔法をかけた。部屋にはベッドや机など簡単な家具が置いてあった。 「今のは浄化の魔法。汚れを綺麗にしてくれるのじゃ。続きは明日にしよう。この部屋を自由につかってくれ。」 アスラは挨拶をすると部屋を出た。未来を変える最初の一日が終わろうとしていた。
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