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「「え?」」
英太と男の声が重なった。
そして、二人同時に女子高生を改めて凝視する。
するとどうだろう。
顔色なんて分かる訳もないのに、どこか恥じらった様子を見せ始めているではないか。
「「…………」」
「まったく野暮だねぇ」
呆れたように溜め息を吐いて首を振る猫に、男二人は返す言葉も無い。
「マジかぁ……鈴、どうすれば良いんだ?」
「は?そんなの自分でお考えよ。わっちの領分ではありませんよ、旦那」
「いや、無理だ!俺、色恋沙汰とかマジで無理!」
「こんなの色恋沙汰の内に入りませんでしょ。それに……現世にさ迷う仏さんなんて、半分くらいは惚れた腫れたの拗れでありんすよ?」
自分の頭上を飛び交う会話に、どうも居たたまれない気分になる英太。
どうやらこの男は男女間の問題に弱いみたいだが、かといって恋愛経験0の英太にはアドバイスをしてやる事も出来ない。
困りきった英太の横で、シンは右へ左へと言葉を発した方へ向かって顔を向けていた。
「やれやれ……先が思いやられるねぇ」
深い溜め息をうなじに受け、英太の体がゾクッと震えた。
と思ったら、後頭部を押さえていた肉球の感覚が無くなり、英太はバランスを崩して後ろへとひっくり返ってしまった。
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