「夏の声」 : 本編のあと、夏休みに入った直後の四人の話

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 ううん、と考え込んでいたら、成島が仁羽に「仁羽は何かないの? 好きなもの」と尋ねていた。仁羽は一瞬空を見つめたあと、わりとあっさり答えた。 「スイカジュース」  当然、て感じの顔で答えてるけど、スイカジュースってどんなんだっけ? と思った。あんまり飲んだことないっていうか、そもそも見たことがあんまりないような……。  思っていたら、「スーパーで売ってるの……飲んだことあるけど……」と前置きして、遠山が言う。 「……スイカのアイスが溶けたみたいな味しかしなかったよ……?」  眉をしかめた遠山が、「あれが美味しいって仁羽の味覚おかしいんじゃない……?」とぶつくさつぶやくと、仁羽が鼻で笑った。  曰く、遠山が飲んだのは工場で作られた大量生産品で美味しくないのは当然、その場で加工する店(フレッシュジュース屋さんみたいな)で作るのは美味しいらしい。 「飲んだことないなー」 「ないよねぇ」  成島と首を傾げていると、遠山もうなずいている。フレッシュジュース屋でジュースとか飲まないし。飲むとしてもスイカは選ばない気がする。  まあ、今だとこの暑さがあるから、切実にジュースとかよりスポーツ飲料飲みたい。 「あ、じゃあ作ってみよう!」  いいことを思いついた! という顔で言うのは成島で、もちろん手のひらのメノウ様も乗り気だった。     
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