とある滅びゆく国の小学生

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 てきがぜんいんいなくなりましたが、遠くからたくさんの足音が聞こえてきました。 「いまのうちにいくぞ!」 「でもあきちゃんが!」  わたしはせんじょうのまんなかに、あきちゃんをおいて帰りたくありませんでした。 「いいから行くぞ!」  きょうかんは先に走りだしてしまいました。ほかのの子もそれにつづいてついていきます。わたしもいくしかありませんでした。  ずっとずっとはしって、とうとうてきもおってこなくなりました。ずっと走っていたわたしたちは歩きはじめました。  帰り道、私たちは何も話しませんでした。  またいっぱい歩いて、わたしたちはきちに帰りました。 「あの、きょうかん」  わたしはきょうかんに話しかけました。 「あきちゃんを、どうしておいていったのですか」  わたしはそうきょうかんにききました。べつに答えが知りたかったわけではありません。たぶん、わたしはきょうかんにたいしておこっていたんだと思います。  するときょうかんはしゃがんで、わたしををだきしめました。 「本当に、本当にもうしわけない」  きょうかんは、強くわたしをだきしめながら、泣きはじめました。 「あきちゃんは、もう、もどってこないんだ。それにあそこで止まったら、おまえたちまで、しんでしまうかもしれなかったんだ……」     
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