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朝、私は腫れた目をコンシーラーで隠して家を出る。まだゴミ収集車が来る時間じゃない。
あのおじさん、この辺に住んでる人だったらどうしよう。私のアパートの部屋番号見てたらどうしよう。異動を申し出るしかないな。
「あ」
ゴミ捨て場に、エロ本がない。その代わり、週間少年誌の束が鎮座している。
エ、エロ本が少年漫画に姿を変えられてしまった……! いや、むしろ今の姿が本来の姿か?
冗談はさておき、あの本、誰か拾ったのか? まさかあのおっさん? 守備範囲内? 付録別に捨てて悪いことしたかな?
……まぁいいか。
真実はもう闇の中だが、こうして私の生活は平穏を取り戻した。
そして。
「おつかれ石川ー!」
昼から出勤の店長が鼻歌交じりで機嫌良さそうに出勤してくる。首元をこっそり見てみたがキスマークは付いてない。
「おつかれ様です店長」
店長が私の顔を見て首を傾げる。
「あれ石川? 今日ちょっと寂しそうだなぁ」
寂しい……? まぁ、あの本にツッコミ倒したお陰で、私は日頃(数日前の苦情)のストレスを払拭できた気はする。
ありがとう、快楽に溺れる団地妻たちよ。
「……店長、気になることがあるんですけど、エロ本の付録で付いてるパンティって、本当にAV女優の私物なんですか?」
「昼間から馬鹿丸出しかお前は」
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