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二ヶ月が経った頃、彼は意識を取り戻した。
けれど、彼は事故のショックで記憶の一部を失っていた。
事故の事すらも覚えておらず、自分の置かれている状況に戸惑っていた。
それに、私の事も彼の記憶から消えていた。
目覚めた彼が私を見て「誰ですか?」と聞いてきたから、私は彼にまた自己紹介からはじめた。
「私は、あなたの妻よ」
そう告げると、彼は少し驚いたが同時に安堵していた。
彼には兄弟はおらず、両親もすでに他界している。
だから、彼の家族は私だけ。
その事を、彼は覚えていた。
失った記憶は、私と出会う少し前から病院で目を覚ますまでのようだった。
それは、彼の人生にとっては短い期間。
結婚をして幸せだった記憶を失ってしまった彼が可哀そうで、例え私の事を忘れてしまっても、彼の事を支えようと私は決意した。
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