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しかし、彼は事故によって記憶を失い、妹の事も事故の事も忘れてしまった。
医師から『本人にとってショックな事を告げるのは、今は避けてほしい』と言われ、私は嘘をついてしまった。
病室で彼に話した記憶とは、妹がかつて私に話してくれた事やメール、日記に書かれていたものだった。
彼の記憶が戻ったら、ちゃんと二人に謝罪をしようと思っていた。
けれど、彼が私に笑顔を見せる度に、私は自分のついた嘘に胸が痛んだ。
歯を食いしばりながら懸命にリハビリをする彼の姿を見ていて、私の中で彼への思いが愛情に変わっていくのを感じたから。
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