真っ赤な嘘

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お母さんが驚いた表情で立っていた。無理もない。弟と僕の部屋はドロボーが入ったかのように物で散らばっていた。今日のクリスマスのために赤と白で鮮やかに装飾された部屋が台無しだ。僕はお母さんに言う。 「これはね、お母さんが昨日言っていたことをサンタさんが聞いていて、願いを叶えてくれたんだよ」 僕は嘘をついた。本当はお母さんを喜ばせようと僕がやったんだけど。 お母さんは少し考えた後、青ざめた表情で弟のベッドの元へと急いで向かった。お母さんの昨日言っていたことは現実に起こっていた。 僕はお母さんが大好きだった。お父さんと離婚してから、お母さんはお父さんのように働いて、家事もしっかりしてくれて、僕と弟を育ててくれた。だから、これは僕からのプレゼント。嘘をつくのは申し訳ないけど、お母さん喜んでくれるよね? 「僕もびっくりだよ。本当にサンタさんっているんだね。昨日お母さんが弟とケンカして、あんたなんて死ねばいいって言ったのが叶ったね。あれ?なんでお母さん泣いているの?」 クリスマスの装飾のように、鮮やかに真っ赤な血が広がる部屋には泣き声が響いた。
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