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「クソッ。誰なんだよ……。」
と辛そうに言った。
「何で、そんなに怒るの?」
僕が聞くと、壮太はハッと目を見開いて固まった後、じわじわと顔を赤くした。
そして、視線を左右に泳がせた後、おずおずと口を開いた。
「俺、裕の事が好きみたい。……ねえ、裕の好きな人って誰?その人と同じにするから。ねえ、教えて?」
壮太に言われた事が、一瞬分からなかったけれど、脳がしっかりその意味を理解すると全身の血液が沸騰したようになった。
でも、でも……。
「……僕、壮太と付き合いたくない。すぐに捨てられて、無かった事にされるなんて嫌だ。」
ずっと、壮太に対して有った不安が口をつく。
壮太はショックを受けたように、表情をゆがめたが、すぐに真剣な顔になって言った。
「裕の事飽きるなんて絶対ない!!だって、15年も一緒に居るけど、全然飽きないよ。ずーっと一緒に居たいって思うよ。
ねえ、裕の好きな人って誰?教えてよ……。」
そう、懇願されるように言われ、僕は、僕は……。
「僕の好きな人は……、壮太だよ。」
フルフルと震える指で、壮太の事を指さしながら答えた。
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