仮面夫婦

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 しかし私の意志とは反対に、身体はどんどんと弱っていくようだった。  弱っていくにつれて思い出されるのは、彼が今まで私に見せてきてくれた様々な顔だった。  彼に覚えているかと聞くと、殆どのことは覚えていてくれた。  同じ思い出を持っていることが嬉しく、そして愛しいと思えるのだった。  早く元気にならないと。  そう思うものの身体は言うことを聞いてくれない。  あぁ、これはもうダメかもしれない。  諦めかける気持ちを叱咤するのは彼への愛しさだった。
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