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「やっぱ聞こえてんじゃねえか! なに露骨に無視してんだよ!」
「うるさいわね……。いいわ、この際、はっきりしておこうじゃない」
そして耀子は辰郎に詰め寄り、眉間を指さした。
「いい? 私があんたと一緒に行動するのは、あくまでも母さんに言われたからそうしているだけ。本来なら、あんたなんかとは会話もしたくないの。母さんに言われてるし、龍玉探しには付いて来なさい。ただ、下手に手伝おうなんてしなくていいから。迷惑だし。探すのは、全部私がする。あんたは黙って、ただ私について来ればいいだけ。わかった?」
「…………は?」
「は? じゃないわよ。返事は?」
「……」
耀子のあまりの言い様に、さすがの辰郎も、完全に頭に来たのであった。
「……アホらし。もうやってらんねえ」
突然辰郎はそんな言葉を口にして、来た道を引き返し始めた。
「ちょっとあんた! どこへ行くのよ!」
「どこって、家に帰るんだよ。もう夕方だし」
「ダメよ! これから龍玉を探すから、あんたも――!」
「――行かねえよ。お前一人でやりたいんだろ? だったらそうしろよ」
辰郎は冷めた口調で、突き放した。
耀子もまた、表情を険しくさせる。
「……なんですって?」
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