妖弧の燿子さん

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「だからお望み通り、俺は何もしねえって言ってんだよ。玉藻さんに聞かれたら、“あの役立たずの変態と一緒に探した”って言えば問題ないだろ。どうせわかりゃしないんだからよ」 「母さんに嘘をつけって言うの!?」 「嫌なのか? じゃあこうしろ。“あいつが勝手にどっか行った”ってな。それなら問題ないだろ。悪いのは俺であって、お前じゃない。俺は何もしなくていいし、お前も怒られない。ウィンウィンじゃねえか」 「ダメよ! 母さんはあんたと一緒にって言ってたじゃない!」 「だからしねえって。さっきから聞いてれば、好き勝手言ってくれてよ。だいたいお前さ、そんなに全部玉藻さんのせいにして楽しいか?」 「か、母さんのせいになんて……!」 「してるじゃねえか。母さんが言ったから、母さんから言われたから……って、恨み節たっぷりにな。あの人が何を考えてるのかも知らないのに、よくもまあそこまで言えるもんだな」  耀子の顔色が変わる。 「……どういうこと?」 「俺さ、玉藻さんに言われてんだよ。くれぐれも耀を頼むってな。それに、お前のことを心配してたんだぞ? お前の極度の人間嫌いは、これから先辛くなる。だから、少しでも人間界に慣れてほしいってさ」 「母さん……」     
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