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よーい、どん!
いっせいにボクらははしりだす。
みんなとてもはやい。
のろまなボクはみんなのあとをひっしにおいかける。
「どうした、こわいか?」
おにいちゃんだ。
いつもこの“かけっこ“でゴールしてるすごいおにいちゃん。
「うん。みんなこわくないの?」
「ぜんぜん」
「どうして?」
「“もどってこれる“からさ」
「もどってこれる?」
「そう。なかにはいまよりももっとキレイになってもどってくるやつもいる」
「そうなの?」
「ああ。おにいちゃんはこんどこそそれになる。おまえもなれるといいな」
そういっておにいちゃんはボクをおいていった。
「あ、まって!」
おいかけるボク。
でもおにいちゃんはとてもはやくて、おいつけない。
もうみえなくなった。
「きれいになるってなんだろ?」
たくさんのおにいちゃんやおねえちゃんがボクをおいぬいていく。
みんなたのしそう。
なんだかボクまでたのしくなってきちゃった。
ボクははしった。
はしりつづけた。
そして…はいいろのかべにあたってボクのからだははじけた。
まっくろなおかあさんがいなくなった。
かわりにみずいろのおとうさんがやってきた。
あ…。
すごくきれい。
おとうさんがやってきたあとには、あかやあお、みどりやきいろのきれいなもようがでてきた。
あれがおにいちゃんのいってたことだったんだ。
きっとそうなんだ。
おにいちゃんはあのなないろのもようになれたかな?
ボクはなれなかったけど、こんどはぜったいになりたいな。
ボクはなないろのもようをかきつづけるおとうさんをみて、そうおもった。
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