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「あっくん」
彼女が初めて僕のことを呼んだあの日。
僕が小学校2年生のとき、親の仕事の都合で転校した。夏休みが明けた2学期の頃。2つ上になる姉と一緒だったが、知らない教室に一人で入るのはドキドキした。
「今日から、新しく皆んなと同じクラスの仲間になる 有本雅君だ。仲良くするんだぞ!席は、左の後ろだから…前田さんの隣だな。宜しくな。」
みんなの視線を感じながら、席に着く。先生が、夏休みの間どうだったのか、みんなに話しかけていた。僕はまだ緊張で前を見る余裕もなく俯いていた。
「ねぇ、ねぇ、名前、なんて呼んだらいい?」
隣の女の子が話し掛けてくれた。
「えっ…と…何でも…いいかな。」
「そっか。じゃあ…うーん…と。まさ君…。うーん…でもなぁ……あ、あっくん!のが可愛いや。あっ君に決まり!」
ニコッと僕の顔を見て笑った。
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