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ピンポーン。
ピンポーン、ピンポーン。
チャイムが家に鳴る。宅急便かと思い、重い体のまま、ドアを開けるとそこには佳奈がいた。
「やっぱりいるじゃない。なんで、私が2時まで待たないといけないのよ!」
不機嫌そうにぐいっと玄関に入りこんでいく。
「いや、今、体調悪くて、ちょっと休みたいんだ……」
痛みから吐き気までしてくる。
「そんなの関係ないわ。私、この部屋にいるし、勝手に寝てたらいいじゃない」
「頭痛いから、悪いけど、ちょっと静かにしててほしいんだけど……」
「はい、はい」
部屋に上がり込みながら、適当な返事を返す佳奈を見て、早く薬が効いてくれと願う。
「ねえ! 誰が来たの!?」
シンクにあるマグカップを見て、佳奈が叫んだ。
ああ、しまった。
さっき美香が来た時に使ったものを片付けないままにしておいた。
一つのマグカップには、口紅の跡がついている。それを見たせいだろう。
「あー、さっきまで大学時代の後輩が来てて……」
「もちろん女もいたわよね?」
「ああ、彼氏と一緒にな」
やましいことは何もないが、女が一人だけ来たと言うと余計に話がややこしくなるだろう。
自分が飲んだことを告げずに、思わず嘘をつく。
「えっ、なんで女を部屋に入れるの? 彼女いるのに!」
「いや、いろいろ俺に相談したいらしくてさ……」
「じゃあ、なんで、私との約束は伸ばすのよ!!」
「いや、帰った後から気分悪くなったんだ」
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