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本当のことを言いつつも、これじゃあ説得力がないよな、ともう一人の俺が言う。
けれど、それ以上どうしたらいいか、痛む頭では思考が回らない。
「もう、だから、颯太って、嫌なのよ!! すぐに体調崩すし、彼女を大事にしないんだから!!」
その言葉を聞くと、さすがに苛立ってくる。
「いや、俺はお前の気持ちに答えようと精一杯やってるつもりだけど……」
「全然足りないよ! じゃあ、私をここに住ませてよ! 彼女なんだから、一緒にいられてうれしいでしょ」
突然の話題の切り替え方についていけない。
ここで彼女の言い分を受け入れたら、確実に部屋に居座られる。
佳奈と一緒に暮らすことを考えると喜びではなく、微かに寒気のようなものを感じた。
「いや、それとこれとは違う。いくら彼女でも、それは困る!」
ハッキリと言い切った分、彼女が怒りだしたのが見て取れた。
「なら、颯太と別れる!! こんなに私のことを大事にしてくれない彼氏なんて、付き合ってる意味ないもん!!」
彼女の常套句が出てきた。
いつもなら俺がなだめることが多いが、今回に限ってはなぜかできなかった。
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